第9回 AnnBee × CRAFT AID コラボレーションバッグ
〜アジアの手仕事の魅力/クラフトエイドのフェアトレード〜

クラフトエイドでは、国内の社会問題にも目を向けた商品作りを行っています。

今回は、東京都国分寺市にある福祉施設AnnBeeとのコラボレーションバッグの製作ストーリーをお伝えしたいと思います。

『個々の存在価値を見出し、社会に貢献します』
生活介護や就労継続支援B型などの事業を行っているAnnBeeは、一人ひとりの心に豊かなものを育んでほしいと願い、日本の伝統文化にふれる機会や社会参加型の機会を作っています。

綺麗なタイル張りの建物の前には「どうぞお気軽に手にとってご覧ください」と書かれた陶芸作品のワゴンが置かれ、中に入るとショーケースに並んだ洋菓子が出迎えてくれました。西国分寺駅から徒歩15分。閑静な住宅街の一角に今回クラフトエイドとコラボレーションバッグを制作した福祉施設AnnBeeがあります。

カタンカタンと鳴り響く織り機の音

私たちが案内された建物の一室は、たくさんのカラフルな糸や生地が積み重なり、数台の木製の織り機が並ぶ、まるで小さな織物工房。そこで何名かの作り手さんが黙々と裂き織りの作業を行っていました。

裂き織りは、綿やレーヨンなどの比較的耐久性のある糸を経糸にし、細かくひも状に裂いた布を横糸を織り込んでいく昔ながらの伝統技術。江戸時代に使い古した布を捨てずに新たな生地の一部にしたことから始まったと言われています。

現在ではアップサイクルとして注目されている裂き織りですが、AnnBeeでは、寄付でいただいた着なくなってしまった着物を再利用しています。

細かく裂かれ、新しい生地に生まれ変わる生地たち。

両サイドをフサフサにして、フワフワ感をだすこともできます。

販売先を探して

足ふきマットやベルト、コースターなどの製品に生まれ変わる裂き織り生地ですが、代表の木下さんにお話を伺ったところ、販売先が見つからず、織り上がった生地が溜まってしまっているとのこと。出番がなく積み重なっていく生地たちはどこか寂しそうでした。また、裂き織り作業を行っている作り手さんたちにも十分な工賃を払うことが出来ず、何とかして活用方法を見つけて、作り手さんたちに正当な工賃を支払いたい、自分の持つ技術が評価されることで得た工賃で買い物ができたり、両親にプレゼントを渡せたり...小さい目標かもしれませんが、自信や生きがいにつながると語ってくれました。

ベースの配色は一緒でも織り手の力加減によって表情が変わる裂き織り。一つひとつに個性が出ます。しっかり力強く織られたものは固く密度が増し、優しく織られたものはふんわりなめらかに。また、独特の手触りと様々な色が混ざり合って作り出される深みのある色合いが楽しめるのも裂き織りの魅力です。

私たちはこのようなコラボレーションができて誇りに思います

タイのスラムに事務所を構え、教育文化支援を行う『シーカーアジア財団』のクラフト部門の女性たちがバッグ本体を製作し、裂き織りで作った帯の持ち手を組み合わせたトートバッグが完成しました。一つひとつ持ち手の雰囲気も異なる一点物です。

カラフルな裂き織りの持ち手の魅力を引き立てられるように、バッグ自体はとてもシンプルなデザインに。前面にはスマホや定期入れが入るサイズのポケットと、後ろには大きめのポケットが付いています。開閉部はスナップボタン仕様。ちょっとしたお出かけや、ランチバッグ、サブバッグとして便利なミニトートバッグです。

持ち手は個性豊かな3色から選べます。写真奥から、『さわやかカラー』『くすみカラー』『元気カラー』。着物をリサイクルしているため、ベースの配色は近いものにしていますが、製作時期や柄の出方によって、写真のものと色味が異なる場合があります。

▽商品は下記のオンラインストアのページからご購入いただけます。
https://craftaid.jp/?pid=177480837

「障がいを持っていてもこの子たちが国際協力に関われることが嬉しい。」
担当していただいた職員さんの言葉が印象に残っています。今まで磨いてきた自分たちの裂き織りの技術がスラムに暮らす女性たちの生活を支える力になり、また、シャンティの活動を通して、アジアの子どもたちのための教育文化支援につながっていく。あらゆる人が国際協力に参加できる社会を目指して、クラフトエイドではこれからも継続して製作をお願いすることで、持続可能な社会を目指していきます。